沖縄のアーティストでありデザイナーでもある新里清明にとって、人工物は遠い過去から現在にアイディアを運ぶ器です。 彼によると、沖縄では第二次世界大戦中に多くの人工物が失われ、その後戦後復興の混乱の中で海外から数多くの品がでたらめに沖縄の社会空間に流入して不協和音を生み出し、それが沖縄の現在の街並みに反映されていると言います。

この戦後の現実に対して新里の出した答えは、抽象作品です。彼は、彼が本物とみなすもの、戦争で失われなかった人工物や自然の中にある生命のエネルギーを感じ取り、現代的な美意識や素材と祖先の哲学的遺産を組み合わせたアートを作っています。

Cotonoha:アーティストになろうと思ったのはいつですか。

新里清明:アーティストになるずっと前から、私はアートを通して自分を表現したいと思っていました。新しいことを学ぶのが好きでしたが、アーティストになるというのは、少なくとも最初に思いついた時点では恐れ多いことに思えました。それでも挑戦してみたいと思いました。

Cotonoha:それはいつのことでしたか?

新里清明:私は23歳の時ロンドンに住んでいました。イギリスの豊かな文化的遺産などが多く飾られた美術館に足繁く通っていました。

そこで私はジュエリーのデザインを勉強したいと思うようになりました。しかし、ジュエリーだけでは飽き足らず、他の媒体を使った実験もするようになりました。私は常に、自己表現の可能性を広げるものを探しています。

Cotonoha:あなたは今は沖縄にいますが、なぜロンドンにいたのですか?

新里清明:姉妹と一緒に行きました。彼女がロンドンに行く予定があって一枚チケットが余っていたのです。それを僕にくれるというので、喜んで受け取りました。当時私は東京での生活を楽しんでいて、外国に住みたいとは思っていませんでした。しかしロンドンに到着するとすぐに、素晴らしい街だと思ってしばらくそこに暮らすことにしました。

Cotonoha:どんな素材を使って作品を作っていますか。またなぜその素材を使っているのですか。

新里清明:対照的だったり調和しないような素材なのに、組み合わせてみれば共存して美的に面白かったり示唆に富んでいたりするようなものに惹かれます。さらに、多くの素材が、特定の創造的プロセスに向いているとされていますが、私は特にどれが好きということはないのです。全ての素材が同じです。全てがアート作品に成りうるのです。

Cotonoha:あなたの作品を全てつなぐ最も重要なコンセプトは何ですか。

新里清明: 何よりもまず生命です。過去のアーティストは自然界からインスピレーションを得て、心に訴えかけて人々の気持ちを一つにするような作品を作っていました。彼らは自然から感じたものを表現して、生命力に溢れた作品を作りました。

Cotonoha:生命とは何だと思っていますか。

新里清明:私にとっては、自然のプロセスの中で有機的に生まれたものは全て生命です。多くの物体が魂を持っています。

Cotonoha:あなたのインスピレーションの源はなんですか。

新里清明:私たちの祖先は子どもたちのためにより良い生活を夢見ていて、彼らの残したアートは記憶の器であり、その思いを響かせていて、過去と現在をつなぐ橋の役割を果たします。私はそのような過ぎ去った時代の作品、祖先の伝統、様々な問題を抱えているとはいえ沖縄の自然からもインスピレーションを得て、将来の世代に評価されるアートを作っています。

Cotonoha:あなたの作品の大部分は抽象的ですが、具体的な世界とどのように関連しているのですか。

新里清明:できるだけたくさんの人に届けることが重要だと思います。より明快なアート作品を作ることが常に頭にあるのですが、同時に比喩と抽象の間の適切なバランスを見つけることに常に苦労しています。

作品を見てくれる人が、痛みだけでなく喜びも感じてほしいと願っています。なぜなら最終的には私は全ての人々が手を取り合い、より良い世界の構築に向かって喜びを持って前進してほしいと願っているからです。

Cotonoha:アーティストは社会の中でどんな役割を持っていますか。

新里清明:私は多くの人々が世界に対して無関心になっていることが不安です。人生の目的を理解するために自分の心を覗き込む人が少ないのです。その上、現在の社会では、この残念な状況が普通だとされています。

しかしアーティストは普通とは違います。感覚が鋭いのです。怯むことなく正直に自分の心を覗き込み、世界の本質を捉え、見る者にその本来やるべき仕事を思い出させるような、力強く説得力のある作品を作ります。

最終的には、それが音楽、食事、アート鑑賞から来るものであれ、そういったことを通して世界に対する誠実な感覚が生まれ、次第に広がって、社会をより良い場所に変えていくのです。

Posted 
2021-11-17
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